5.21 壁の向こうへ@ベツレヘム、ヘブロン
久しぶりにキッチンがある宿だったので朝はトルコで買ったカップ麺を作って食べた。さすがトルコ。美味い。
まずは岩のドームがある神殿の丘へ。少し見つけにくい入り口から渡り廊下のようなもので入場。
アルアクサモスク。聖地の割に割と地味だ。
振り向くと岩のドームが見える。
中にはムハンマドがそこから昇天したと言われる聖岩があるらしい。ムスリム以外は入れないが……
神殿の丘はユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地だが、イスラム教の存在感が圧倒的に強いように感じた。
ダマスカス門の前のパン屋で昼ごはんにパンを買う。2つで10シェケル(300円)なのはイスラエル価格なのか観光地価格なのかぼったくりなのかは分からない。
バスに乗りベツレヘムへ。ベツレヘムはパレスチナにあるが、特に検問のようなものはなかった。
バスを降りてバンクシーの絵を目指して歩く。ベツレヘムにはバンクシーの絵や彼が手がけたホテルがあることを昨日会った日本人に聞いていた。バンクシーを知ったのは最近の東京の件だが、せっかくなので見に行くことにした。
バンクシー1枚目は土産物屋の中にある。というかバンクシーの絵で儲けるために土産物屋が建ってしまったというのが正確なところだ。
グラフィティアートというやつは今まで全く知らない世界だったが、これは素晴らしい作品だと思った。土産物屋が邪魔すぎるが。
上の写真に写っているガキが「タダだから写真撮りなよ」と言う。何か買わないと写真を撮れないとネットで見ていたので怪しいなと思いつつシャッターを切ると、その瞬間「ギブミーマネー」と言い出した。
話が違う、大人をナメるなと怒りながら何も払わず店を出た。嘘をつく人間に払う金などないのだ。
バンクシー2枚目。これは普通の壁に書いてある。
パレスチナとイスラエルの境界(正確には少しパレスチナの領土内に侵入している)には分離壁があり、パレスチナ人は自由にイスラエルに入ることができない。
この壁には実に多くのグラフィティアートが描かれている。
分離壁の横には「世界一眺めの悪いホテル」と呼ばれるバンクシーが手がけたホテルがある。
中に博物館があるので入ってみた。めっっっさお洒落。
共有スペースにはアートがあふれていた。部屋の中がどんな風なのか気になるところだ。
ホテル内の博物館はパレスチナに対するイスラエルの行い(仕打ち)を展示していた。
IDやナンバープレートによってイスラエルへの入国に著しく制限がかかるらしい
イスラエルの使用した武器
ガザの模型
パレスチナ人のメッセージ
他にも「イスラエル軍だ。今からこのエリアを爆撃する。5分あるから出ていけ」といった電話の再現(英語でだが)やビデオによる説明などヘビーだが充実した内容だった。パレスチナ側の言い分ではあるが、少なくともイスラエルは歴史の被害者であると同時に加害者でもあるのだということは言えるのではないかと思う。
ホテルを出て分離壁沿いに歩く。
分離壁が向こうまで続いているのが見える。
ぎっしり並ぶグラフィティーアートはパレスチナ人の叫びが聞こえてくるようだ。ベルリンの壁もこんな感じだったのだろうか。
Just Remove it
Make hummus, not walls
All racists are bastard
ひとしきり見終わったあとは乗合タクシーでヘブロンに向かう。前に座っていた女性がコナンを見ていた
ヘブロンは啓典の民の始祖アブラハムらの墓がある聖地である。タクシーを降りた時に声をかけてきたおっちゃんの息子が連れて行ってくれると言うので何度も無料か確認してついて行く。モスクまでの道はバザールが続き、ムスリムで賑わっていた。
案内してくれた少年は英語が話せたのでいろいろ教えてくれた。40歳以下のパレスチナ人はパーミッションがないとイスラエルに入れないがそのパーミッションを取るのが非常に難しいそうだ。「イスラエル人はパレスチナの若者がみんなテロリストじゃないかって恐れているんだ。自分たちの土地じゃないからね。」と言っていた。市場の上には網が張ってあったが、これはユダヤ人入植者が投げてくるゴミをよけるためのものらしい。
彼の母親はブラジルにルーツがあるらしく、パレスチナのパスポートは弱すぎるのでブラジルのパスポートを持っているらしい。選挙にさえ行けば維持できるそうだ。
そんなこんなでアブラハムモスクに到着。内部はムスリムセクションとユダヤ教徒セクションで分かれている。非ムスリムはムスリムセクションに午前中しか入れないらしく入れなかった。
少年はユダヤ教徒セクションには入れないので別れを告げる。チップをくれと言われることすらなかった。疑ってごめんな。
お墓がいくつかあり、人々は熱心に祈っていた
ここの警備員がとてもフレンドリーだったので話をしていたが、彼らは高校卒業後の2年間の兵役中らしい。色々な場所の警備員が若かったのはそういう事情があったからなのか。
またバザールを通って乗合タクシー乗り場へ戻る。途中で水を買おうとすると5シェケルと言われた。物価の安いパレスチナがエルサレム旧市街と同じ価格な訳がないので交渉すると2シェケルまで下がった。
木曜日に国会議事堂に行く予定だったが、ドレスコードによりスウェットパンツでは入れないらしいのでジーンズも購入。旧市街では70シェケル以上したがここでは45シェケルで買うことができた。
乗合タクシーでベツレヘムに戻りまたバンクシーの絵を見に行く。途中で降誕協会(キリストが生まれた場所に建つ教会)を通り過ぎた。エルサレム行きの最終バスの時間を考えると今日入るのは無理そうだったので後日行くことにした。
教会の近くには巡礼者用の宿もあった
バンクシー3枚目。小さな店の横にあり見落としてしまいそうな場所にあった。
バンクシー4枚目。中心街から離れたガソリンスタンドの壁に描いてある。
1時間かけてバス停まで歩きエルサレム行きのバスに乗った。帰りは検問があり軍人がバスに入ってきてパスポートチェックがある。
パレスチナ人が不法侵入しないようにしているのだろう。
俺はパスポートを差し出したら表紙を見ただけで中を開くこともなく笑顔で返してくれた。
バスからも分離壁が続いているのが見える
今日の宿の夜ご飯。昨日より野菜の種類が増えている。