3.19 泥濘む砂漠を独り歩き目指すは地獄@クフナウルゲンチ・ダルヴァザ
ヌクスからマルシュルートカを3本乗り継いで国境へ。
国境は今までで一番人気がなく閑散としていた。
入国税14ドルを払い入国審査を受ける。トランジットビザなので、通ると申請した街(俺の場合はクフナウルゲンチとアシガバートとトルクメンバシ)以外に行くのは禁止だと念を押された。ダルヴァザに行くかとも聞かれたが、行くと言うと観光目当てだと思われて面倒なことになりそうなのでノーと嘘をついた。
55ドルのトランジットビザと14ドルの入国税と100ドル近いフェリー代を考えるとバクーまで飛んだ方が安そうだしトランジットビザ発給する必要なくない?と当局が思わないのか少し気になるところだ。
国境からは5マナト(闇レート30円)のシェアタクシーに乗ってクフナウルゲンチの街に行く。ウズベキスタンで会った日本人に10マナトもらっていたのでそれで支払うことができた。
バザールで闇両替してくれる人を探し、1ドル18マナトで30ドルと余った80000ソムを替えてもらった。なかなか良いレートだ。
バザールは見た目は汚いがなかなか賑わっていた。
ちなみに公定レートは1ドル3.5マナトである。ここまで公定レートと差が大きい国も珍しいと思う。おそらくイランレアルよりも上だろう。
両替を終え一安心したところで昼ごはんにシュルバとシャシリーク。シュルバはスープと肉が別だし、シャシリークはインドっぽいスパイスの味がするなどウズベキスタンとの違いを感じた。しかもこれで11マナトだ。
クフナウルゲンチは世界遺産にも登録されている古都だが、ウズベキスタンとは違いほとんど修復されておらず廃墟のようになっている。それがまた良いのだが。
ダルヴァザやアシガバート行きのシェアタクシー乗り場に着くと、運転手がドッと寄ってきて腕を引っ張ってきた。100マナトと言っている輩もいたが、オークション形式にしたら20マナトまで下げることができた。
ここでふと気付く。40ドル近くも替える必要絶対になかった、余ってもドルに替えるのは難しそうだししくじったかな、、、
1時間ちょっと車を走らせたところで、いつの間にか道路の左右から植物が減り砂漠地帯になっている。
300km以上あるはずなのに3時間もかからずダルヴァザの拠点になるチャイハナに到着した。
降りるときに20マナトを渡すと足りないと言う。60マナトだと。乗るときにあれだけしつこく確認したのに。
みんなが集まって来たので「こいつは嘘つきだ!」とGoogle翻訳で説明してみたが、60マナトはフェアプライスだと言われた。クフナウルゲンチからアシガバートまで60マナトが相場で、途中で降りたからといって安くはならないらしい。まあこんなとこから新しく乗る客おらんやろしな。
タクシー乗り場で他のドライバーから客を取るために嘘をついてたのかと思うと怒りがこみあげた。
マナト余りそうだし金額的には全然良いんだけど、堂々と嘘をつかれたことに対して怒りが収まらない。
最終的にはドライバーを睨みつけながら残りの40マナトを半ば投げつけるように渡しチャイハナに入った。
チャイハナで少し早い夜ご飯。トルクメニスタンの郷土料理ドグラマというサムサのようなパンのようなものが浸してあるスープだ。20マナトと少し高い気もするが、それでも1ドルちょっとだし観光地価格だと思うことにした。
チャイハナを出てからは地図を頼りにひたすら北東に進む。途中であたりを見回しても誰もいない。立ち止まると風の音だけが聞こえてくる。
さらに砂漠のくせに最近雨が降ったのか所々ぬかるんでて歩きにくいことこの上なかった。
こんなところに本当に地獄の門があるのかと不安になってきたところで、泥沼にハマって動けなくなったジープを発見。どうやらゴールが近付いてきたようだ。
そんなこんなで1時間半ほどで地獄の門に到着。
燃え盛る炎がゴウゴウと音を立てていた。
近付くと暖かい。
ここは自然にできたのではなく、工事中に崩落が起きて天然ガスが噴出してきたのでガスの蔓延を防ぐために火をつけたことによってできたらしい。
つまり天然ガスが出る限り燃え続けるのだそう。
正直思っていたより炎の量は少なかったが、それでも素晴らしい景色だった。特に夜。
周りに柵が張ってあるがみんな乗り越えて写真を撮っている。
夜の地獄の門を見下ろすと闇の世界の支配者になったような厨二臭い気持ちになる。
そして今夜は地獄の門の横で野宿だ。
しっかり着込んだものの夜が更けるとそれでも寒かったので、思い切って柵の内側で寝ることにした。柵の外よりましだったがそれでも寒い。地獄の門の近くは風が強いが、その風が温風の時と冷風の時がある。冷風が来るたびに体は寒さで縮み上がっていた。